車用鉛バッテリーの構造図
電解液は完全充電で比重1.28です。
電解液はバッテリーに電気エネルギーを
蓄える重要な役割を担い、格子と活物質から
出来ています。
格子は網目形状の鉛合金からなり、活物質を
保持して電気エネルギーを集配しています。
| バッテリーの主要部品 | |
| 部品名 | 主な物質 |
| +(正)極板 | 鉛、鉛合金(活物質は二酸化鉛) |
| −(負)極板 | 鉛、鉛合金(活物質は海綿状鉛) |
| セパレーター | 強化繊維、合成樹脂 |
| ケース | 合成樹脂 |
| 電解液 | 希硫酸 |
■鉛バッテリーの化学反応 <充電・放電のメカニズム> 車用を例にとっています
・放電中の化学変化
放電が進むにつれて硫酸の消費量が増加、電解液中の硫酸分が減ることで、濃度が低くなります。
消費される硫酸量はバッテリーから取り出される電気量に正比例することから、硫酸が極板の活物質と
反応して消費されるとバッテリーの電圧が降下して、電流をとりだせなくなります。
このように放電するにつれて、電解液濃度が降下していく現象を利用して比重を計測することで、
バッテリー内に残存する電気量を推定することが出来ます。

・充電中の化学変化
放電したバッテリーに外部の電源から電流を送り込むと、放電時に生成した正極板・負極板の硫酸鉛が
分解されて硫酸は極板を離れて電解液中に戻ります。つまり元の濃度になります。同時に極板の活物質も
元の状態に戻り、再び電流を取り出すことが出来るようになります。
※この化学反応は理論上の反応であり、バッテリーの使用を続けることで、この硫酸鉛が結晶硬化していきます。
この硬化した結晶をサルフェーションと言いますが、絶縁体であることから、バッテリーの充放電機能を
阻害します。廃棄されるバッテリーの機能障害要因の80%がサルフェーションと言われています。
バッテリーが完全充電状態に近づくと負極板から水素ガス、正極版からは酸素ガスが発生することから、
充電中のバッテリーには火気を近づけたり、ショート・スパークは危険です。

■鉛バッテリー形式の読み方 車用
バッテリーの天面あるいは側面に形式が表示されています。それによって性能やサイズを読み取り、
ご自分の車に適合したバッテリーを取り付けるようにしてください。
◆JIS形式の場合
(1)性能ランク(単位なし)
こんな表示をご覧になられたことがあると思います。
バッテリーの総合性能(始動性能・容量)を表しています。
数値が大きいほど性能が良くなります。
(50未満=2刻み 50以上=5刻み の表示になっています。)
(2)バッテリーの短側面のサイズ
| 記号 | 幅 | 箱高さ |
| A | 127 | 162 |
| B | 129(127) | 203 |
| D | 173 | 204 |
| E | 176 | 213 |
| F | 182 | 213 |
| G | 222 | 213 |
| H | 278 | 220 |
(3)バッテリーの長さ寸法 (4)バッテリー端子の位置記号
長さの概寸法(単位:cm)を表しています。 +、−端子の極性位置を示しています。
(例 55A24Rでは約24cmです。)

■鉛バッテリーの種類
| 種類 | スターターバッテリー (エンジン始動用バッテリー) |
EBバッテリー (ディープサイクルバッテリー) |
| 用途 | ◆主にエンジン始動用 | ◆電動車両(フォークリフト他)電源 ◆バックアップ電源 |
| 特徴 | ◆高い電圧を維持しながら短時間での高い 電流放電(ハイパワー出力) ◆様々な温度環境での放電パワー維持 ◆深放電の繰り返しには不適合 ・電極板の枚数・・・多い ・電極板の厚さ・・・薄い |
◆深放電、充電を繰り返し行うことが可能 ◆比較的低い率での放電が行われることで、 長時間の連続使用に耐える ・電極板の枚数・・・少ない ・電極板の厚さ・・・厚い |
| 使用例 | ◆乗用車 ◆バイク ◆トラック・バス ◆船舶 ◆農機具 ◆建設重機 他 |
◆電動フォークリフト・ゴルフカート ◆電動車椅子・搬送車 ◆キャンピングカー予備バッテリー ◆UPS(非常用バックアップ電源) |
| 車用(スターター)バッテリーの形態分類 | ||||
| 格子合金の 種類 | 正 極 | 鉛−アンチモン | 鉛−アンチモン | 鉛−カルシウム |
| 負 極 | 鉛−アンチモン | 鉛−カルシウム | 鉛−カルシウム | |
| 鉛バッテリー開放型・密閉型比較 | ||||
| 開放型 | 密閉型(MF) | |||
| タイプ | 液栓式 | 完全密閉式(例:バイク用) | ドライバッテリー | 特殊バルブ式 |
| 特徴 | ・一番多く使われています。 ・車、フォークリフト他電動 車両、船舶等 |
・電解液はゲル状です。 | ・電解液をスポンジ状の マットにしみこませたり、 ゲル状にしています。 |
・異常時のガスや圧力を 放出するバルブを装備。 |
| メリット | ・バッテリー液、比重の チェックが出来ます。 ・比較的安価 |
・メンテナンスフリーです。 | ・メンテナンスフリーです。 ・縦横自由に設置が可能。 ・クランキングパワーが大。 |
・メンテナンスフリーです。 |
| デメリット | ・定期的な精製水の点検 補充が必要です。 |
・バッテリー液、比重の 点検が出来ません。 |
・バッテリー液、比重の 点検が出来ません。 ・比較的高価 |
・バッテリー液、比重の 点検が出来ません。 |
| クイックチャージ | 可能 | 厳禁 | 厳禁 | 厳禁 |
| ※急速充電はいかなる場合も非常手段と考えてください。バッテリーの寿命を縮めます。普通充電が基本です。 | ||||
| エンジン始動用(スターター)バッテリーの容量(参考値) | |||||||||
| JIS形式 | 5時間率(Ah) | JIS形式 | 5時間率(Ah) | JIS形式 | 5時間率(Ah) | JIS形式 | 5時間率(Ah) | JIS形式 | 5時間率(Ah) |
| 26A19R(L) | 21 | 42B19R(L) | 30 | 80D23R(L) | 54 | 95D31R(L) | 64 | 130F51 | 104 |
| 28A19R(L) | 21 | 46B24R(L) | 36 | 48D26R(L) | 40 | 105D31R(L) | 64 | 150F51 | 108 |
| 30A19R(L) | 22 | 50B24R(L) | 36 | 55D26R(L) | 48 | 115D31R(L) | 72 | 170F51 | 120 |
| 32A19R(L) | 24 | 55B24R(L) | 36 | 65D26R(L) | 52 | 95E41R(L) | 80 | 145G51 | 120 |
| 34A19R(L) | 24 | 60B24R(L) | 38 | 75D26R(L) | 52 | 100E41R | 80 | 155G51 | 120 |
| 28B17R(L) | 24 | 32C24R(L) | 32 | 80D26R(L) | 55 | 105E41R | 83 | 165G51 | 136 |
| 34B17R(L) | 27 | 50D20R(L) | 40 | 85D26R(L) | 55 | 110E41R | 83 | 180G51 | 128 |
| 34B19R(L) | 27 | 55D23R(L) | 48 | 90D26R(L) | 58 | 115E41R(L) | 88 | 195G51 | 140 |
| 36B20R(L) | 28 | 65D23R(L) | 52 | 65D31R(L) | 56 | 120E41R | 88 | 190H52 | 160 |
| 38B20R(L) | 28 | 70D23R(L) | 52 | 75D31R(L) | 60 | 130E41R(L) | 92 | 210H52 | 160 |
| 40B19R(L) | 30 | 75D23R(L) | 52 | 85D31R(L) | 60 | 115F51 | 96 | 245H52 | 176 |
■鉛バッテリーの点検
(1)液面点検 ・・・ バッテリーメンテナンスの中では最も重要な保守事項です。(液栓式バッテリー)
1.通常は側面から液面を目視します。
側面が汚れている場合、水で湿らせた布(静電気発生を防ぐ為です。・・・重要)できれいに拭きます。
液面がUPPER LEVELとLOWER LEVELの間にあることを確認します。
2.液面がLOWER LEVELより下にある場合は直ちに、またUPPER LEVELとLOWER LEVELの半分以下に
ある場合も早めに精製水(バッテリー補充液の名前で市販されています。)を補充します。
3.精製水の補充後は液栓をしっかり締めてください。
(2)外観点検
本体にヒビ、割れ、欠け、液もれ等がないかどうかを確認します。
(3)取付け金具・端子の緩み、腐食点検
1.バッテリーが取付け金具でしっかり固定されているか、目視だけではなく実際に手でその固定具合を
確かめることが重要です。緩んでいる場合は、しっかりナットを締め付けます。
2.バッテリー端子と車両側ケーブル端子との接続が、しっかりされているか?
こちらも目視だけではなく、手で固定具合を確かめてください。
3.端子とケーブルの接触面に腐食(サビ)がある場合、ワイヤブラシなどで取り除いてください。
■その他 ・・・ 疑問
(1)何故バッテリーはあがるのか?
単純には長期間の放置あるいは例えばライト・ルームランプの消し忘れ等、全く電気が供給されない状態が
続き、バッテリーの自然放電や消費により、バッテリーの蓄電量を使い果たしたとき、または放電量が充電量を
上回ったときに起きる現象です。
車の場合ならよく動かすことで充分な充電を行う、或はあまり乗らない場合は定期的な充電を行うことで
放電を補うことが重要です。
経年使用による電極板の劣化、サルフェーションの付着もバッテリー上がりの原因になって来ます。
(2)何故バッテリー液は減るのか?
バッテリーが持つ容量以上の充電が行われた時(過充電)、電解液の水が酸素ガスと水素ガスに分解され、
蒸発してしまうことで液が減るのです。特に高温の場合、減る量も多くなります。
車を動かしながらのバッテリー使用時は、このようにバッテリー液が減少しますので、液面の日常点検が
必要になって来るのです。
(3)バッテリー液の減少は何故いけないのか?
バッテリー液の減少が進み、電極板が露出したままで使用すれば、露出した部分の腐食、損傷が
起こります。それは電極板の破壊に繋がり、やがてはバッテリーが機能不能に陥ることになります。
※過充電
走行中のオルタネーターによって発電された電力のバッテリーへの供給はレギュレーターが制御しており、
過充電という事態には中々至らないとは思うのですが、あの灼熱地獄のエンジンルームの中に置かれた
オルタネーター・レギュレーターを構成する部品(コンピューターチップ含めて)への負担は計り知れません。
そうです。故障するかもしれないのです。
万全を期すためにも、定期的な液面点検は必要です。
それがそれらの機器の機能不全を知るきっかけにもなります。
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